新しい風、横須賀での一戦
今年のはじめ。
山さんがヴェルディ相模原に来て間もない頃、ユースチームは横須賀での試合に臨みました。
まだお互いに手探りの段階。
山さんにとっても、選手たちにとっても、新しい関係が始まったばかりの時期でした。
それでもグラウンドに立つ選手たちの表情は真剣で、
どこか「新しい何かが始まる」という期待感に満ちていました。
山さんはピッチサイドで一つひとつのプレーを丁寧に見つめ、
時に声をかけ、時に静かに見守りながら選手たちを導いていました。
その言葉は決して多くはありません。
しかし、一言ひとことに重みがあり、選手たちの心に響いていくのがわかりました。
試合の中で見えたのは、単なる勝ち負けを超えた“成長の芽”。
技術的なことだけでなく、プレーに向かう姿勢、仲間を思う気持ち、
そして「自分で考えて判断する力」。
それらを大切にする山さんの指導が、少しずつユースの中に浸透していく瞬間でもありました。
この横須賀での試合は、まさに“変化のはじまり”。
今思えば、ここからチームの空気が変わっていったように思います。
それまでどこか遠慮がちだった選手たちが、自分の意志で声を出し、動き、考え始めた。
そんな変化が確かに感じられる一日でした。
試合後、山さんの周りには自然と選手たちが集まりました。
疲れた表情の中にも、どこか清々しい笑顔。
きっと、全員が「次はもっと良くなる」と感じていたのだと思います。
結果ではなく、積み重ねを信じること。
サッカーの技術だけでなく、人としての在り方を学ぶこと。
この日から、ヴェルディ相模原ユースは新しい一歩を踏み出しました。
あの日、横須賀の風が少し冷たく感じたのは、
もしかしたら、チームに新しい風が吹き始めていたからかもしれません。
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