旅立ちの季節──心を育てる、合宿の時間。
夏が近づいてきました。
それは、ヴェルディ相模原にとって、合宿の季節の訪れを意味します。
毎年恒例の夏合宿。
そこにはサッカーだけでは語れない、多くの学びと出会いが詰まっています。
朝はまだ静けさの残る時間に、散歩に出かけます。
すれ違う地元の方に「おはようございます」と挨拶を交わし、
その土地の空気を肌で感じながら歩く時間は、子どもたちにとっても、私たち指導者にとっても心を整える大切なひとときです。
山があり、海があり、町がある。
地域ごとに表情が違い、人の温かさも違います。
でも、共通しているのは、どこに行ってもその土地の人々が優しく迎え入れてくれること。
だからこそ、私たちはその土地を大切にし、感謝の気持ちを持って過ごすよう伝えています。
合宿では、普段なかなか会えない他地域のチームとの交流もあります。
サッカーを通じて初めて出会う仲間たち。
言葉よりも先に、プレーでつながることができるのがスポーツの力です。
夜には、語り合う時間があったり、
遠くの夕日を見ながら、それぞれが何かを感じ取ったり。
「うまくなりたい」という気持ちと同じくらい、「人として成長したい」と思えるような、そんな時間がそこにはあります。
そして合宿の終わり、バスの中から遠ざかっていく景色を見ながら、
私はいつも思います。
「また来年、ここに来たいな」と。
合宿とは、非日常ではありません。
“心を育てる日常”を、少しだけ別の場所で過ごすこと。
そして、そんな合宿の中であらためて思い出すのが、
前代表がいつも語っていた「六つの心」。
明るい心
周囲を照らすエネルギーは、自分自身のプレーにも力をくれる。
素直の心
アドバイスを受け入れることで、吸収力も飛躍的に伸びる。
反省の心
失敗から学び、自分を見つめ直すことが成長の第一歩。
感謝の心
親、仲間、相手チーム、指導者…誰かのおかげで今がある。
謙虚の心
調子が良いときほど、足元を見つめ、驕らない姿勢を大切に。
尊重の心
違う考え、違う個性を認め合うことが、強いチームをつくる。
この六つの心は、サッカーの技術と同じくらい──
いや、それ以上に私たちが大切にしている指導の核です。
だからこそ私たちは、技術だけを教えるのではなく、
“人としてどう生きるか”という本質と、日々向き合っています。
今年の夏もまた、新しい出会いと新しい自分に出会える旅が始まります。
その中で子どもたちが、サッカーを超えた何かを持ち帰ってくれたら──
それが、私たちの合宿の最大の目的です。
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